始まりの縄文神社「鬼石神社」(群馬県藤岡市)

鬼石神社(群馬県)
鬼石神社(群馬県)。《縄文神社》を考え始めるきっかけになった大切な場所
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神社の起源は縄文時代?

神社の境内に縄文遺跡があることに気付いたのは、8年ほど前のこと。少しずつ書き留めてリスト化していたのですが、友人が「絶対面白いから読め!」と言って教えてくれた『原始の神社をもとめて』岡谷公二著(平凡社新書)を読んで、その中の「神社の起源は縄文時代か」という項目に、私はくぎ付けになりました。

何となく書き留めて始めたリストはまだ短いものでしたが、その冒頭に書いていたのが「鬼石神社」。そしてこの本の中で、縄文時代に起源があるかもしれない神社の例がいくつか挙げられているのですが、頭に上げられているのが、鬼石神社だったのです。

私は、思わず声を挙げました。というのもそれまでは、「縄文までさかのぼれたらいいけど、弥生時代、古墳時代の墳墓へのお祀りを起源とする神社が多いんだろうな~」と思っていました。しかし岡谷先生は「縄文までさかのぼれる例がある」と示してくださったのです。ということは、ひょっとしてもっとたくさん発見できるかもしれない! そう思って興奮しました。

鬼石神社は「鬼石」という巨石がご神体で、社殿の脇の方からご神体を垣間見ることができます。鬼石神社のあるエリアは山間部にあり、今ではちょっと不便な場所なのですが、周辺からは、譲原(ゆずりはら)石器時代住居跡(国指定史跡、縄文後期~の住居跡)なども出土していて、縄文時代にはひらけた土地だったのです。当然、鬼石神社の境内からも遺跡が出土しており、神社には縄文時代の祭祀具である石棒と凹み石が保存されているといいます。

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縄文神社原体験は「鬼石神社」

以来、鬼石神社には、何度も参拝しました。

鬼石神社は、群馬県と埼玉県との県境に流れる神流(かんな)川中流域にある藤岡市(旧鬼石町)に佇むお社です。

急な石段を登ると、想像以上に広い境内があらわれます。正面からまずは本殿にお詣り。それから脇に回ると、横からご神体を覗き見ることもできます。

自然石に対する原始的な信仰形態を見られるのも楽しいですし、何より高台にある境内は、優しい風がふっと抜ける、とにかく気持ちのいい場所です。私がこの境内にいる時間は、いつも10分ほどではないかと思いますが、そんな短い時間でも、何かを充填してもらったような気がして、元気になるのです。

縄文遺跡と神社が重なっている場所を「縄文神社」と名付けて、再び<取材>し始めたのは昨年の5月からですが、《縄文神社》という視界でこのお社を見ると、これ以上なく見事な《縄文神社》だと改めて思います。《縄文神社》はとても優しくて、ホッとします。そしてなんだか元気になるのです。鬼石神社もまさにそんな場所です。ふと思い返すと、私にとって「プレ縄文神社」体験といいますか、原体験をした大切な場所はこの鬼石神社なんです。

鬼石神社が鎮座する神流川上流から中流域にかけては、譲原石器時代住居跡をはじめ、縄文神社と私は考えている「金鑚(かなさな)神社」があり、見どころがたくさんあります。車でドライブがてら訪ねてみるのがお勧めです。

鬼石神社
基本情報:群馬県藤岡市鬼石町721
縄文情報:譲原石器時代住居跡(鬼石神社から車で5分ほど)
近くの縄文神社:金鑚(かなさな)神社(鬼石神社から車で10分ほど)

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