【自分で解説(3)】縄文神社巡礼で出会う神々

プロローグより

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よく出会うのは、”水の女神”たち

プロローグでは、縄文の神のイメージをなんとなくインプットしていただこうと、ご紹介する神社の周辺で出土している土偶や、石器などをご紹介しています。そんなイメージを胸に抱きつつ、お参りしていただけたらと思ってのことなのですが、神社にお祀りされている神様についても、少し補足させていただこうと思います。

前作含め、縄文神社をお参りしていると、よく出会うご祭神がいらっしゃいます。

まず、水の神である市杵島姫命(いちきしまひめのみこと)。仏教的には「弁才天」とされます。湖に浮かぶ島の神様も弁天様であることが多いですが、明治以降は厳島神社(ご祭神:市杵島姫命)と改称されていたりします。

そして湧水の女神とはちょっと違いますが、海人族の女神である豊玉姫命(とよたまひめのみこと)と弟橘媛命(おとたちばなひめのみこと)にもよく出会います。

泉神社(茨城県日立市)の厳島神社(弁天様)

この神々の名前は、後代に名付けられたり、仏神になったりと変遷しますが、いずれにしても「水にまつわる女神」という属性は変わりません。

縄文神社は湧水の側に鎮座することが多いので、「水の女神」に出会うことが多いのも、ある意味当然と言えば当然です。そして「女神」であるところが、土偶の姿とオーバーラップする気がして、縄文とつながる何かがあるように感じるのです。

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ミシャグジ、チカト神、石神、丸石神…

それから、ミシャグジ、チカト神、石神も、いろんな場所で登場します。

ミシャグジとチカト神は諏訪由来の神様です。特にミシャグジは、縄文時代の石器を御神体とする信仰で、その信仰形態は、縄文時代に遡るのではないかと想像される神々です。石神(しゃくじん、いしがみ)は関東全域に見られますが、ミシャグジとほぼ同じ意味で、こちらも縄文石器が御神体と考えられます。また今作では登場しませんでしたが、埼玉の大宮に本社のある氷川神社などで、摂社に祀られるアラハバキ神も、東北系の縄文由来の神と考えられます。

これらの神々はとても古い神ですから、わかりにくくなっている場合も多いのです。現在の主祭神のお名前が違っても、神社の名前や地名、境内の小さな摂社などに、このような言葉や音韻に近いものがあったりしたら、ぜひ注目していただけたらと思います。

山梨市七日市場の道祖神。県下で最大級の丸石神

それから、今回ご紹介した甲信地方では、縄文時代の石器を「道祖神」としてお祀りしていることも多いので、道祖神にも要注目です。そして山梨県の「丸石神」がまた面白いのです。山梨には真ん丸の石をお祀りする習慣があり、地元の皆さんは「道祖神」と呼ぶことが多いですが、郷土史家の中沢厚さんらがこの神を「丸石神」と呼んで以来、「丸石神」とも呼ばれます。

私もこの丸石神をどうしても見てみたくて、山梨市・甲州市・甲府市・南アルプス市・北杜市で(有名なものだけですが)見て回りました。ほんとに丸くて驚きましたが、こんなに個性的なお姿なのに、地元の皆さんにとっては当たり前すぎて、特別に意識されないということが、また面白いなあと思いました。

本書では、丸石神についても私なりに考察してみております。ぜひ、読んでみてくださいね!

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